ウチダ先生の言うとおり(in junior highschool)

もう朝ではないですねごめんなさい。

おとといは中学校に行ってお話をしてまいりました。
120人を前に一気に話をするわけではなく(体育館じゃなきゃできないからね)、クラスごとにグループをつくってあり、そこに出向いていくという形式。私のほかにも同級生が3人呼ばれておりましたが、予想通りみんな女子。でも一番呼ばれてそうな人は来ていませんでして(たぶん断ったんだと思います)、ちょっと残念。

さてさて、私のお仕事は20分の話を(教室を移して)2回する、という予定だったのですが、学校に出向くと「やっぱり30分にしたんでよろしく」とのこと。こっちもちょっとは話すことを考えてきているわけで、軽い気持ちで10分も伸ばされちゃかなわんのですけど。
「やっぱり7分とかになりませんかね?」などと先生にかけあっていると、「君はどうせ適当にやってしゃべれるんだからいーじゃん」などと同級生みんなに言われました。中学生のときも私は人前で適当にしゃべってたんですね。じゃあそれでいいか、ということで開き直ってスタート。はじめは普通教室でお話です。

中学生は予想通りちょいと怖い感じで、とくに一部男性のめつきが大変に威嚇的だったのですけれども、思いのほか話はちゃんと聴いてくれました。後で提出を義務付けられているのでしょう、かわいそうになにかレポートのようなものを書いておりました。
卒業生にはそれぞれ担当の先生がつきまして、私の担当がたいへんにお世話になった社会の先生だったので、私の受験勉強の内容を率直に開示するのにはなかなかの勇気が要ったのですが、まーもう時効じゃん? と開き直って、「残念ながら3年生がこれから一年間かけてどう勉強するべきかは私にはわかりません」ということを告知した後、「1秒たりとも勉強しなかった話」と「1日14時間勉強した話」など。学校側としては間違いなく、「模範的な受験生*1」として私を呼んだことは重々承知しているのですが、嘘ついてもしょうがないもんね。

と、いうわけで1回目の話は途切れ途切れになりつつも20分ほどで終了。あまり反応が良くないというか、ところどころに混ぜた面白い(と私が思っている)エピソードがうまくつたわってないなあ、という印象はありましたが*2、そこから先の質疑応答はうまくやれたかな、と思います。数十人を漠然と対象にして話すのと、質問してきた相手に向かって話すのとでは話しやすさがぜんぜん違います。

中学生A:どうやって志望校を決めたんですか?
わたし:偏差値。

中学生B:彼女はいましたか?
わたし :15人ほど。
一同  :ざわざわ……
わたし :ごめん嘘……


で、ちょっと休憩してから2回目。今度は視聴覚室。ここで私は内田樹(またか!)が4日のブログに書いていた「ブロフェルド効果」を実感いたしました。これは要するに、音響のいいところで話すと声が良く通って話しやすい、という当たり前といえば当たり前のことなのですが、「教室」と「視聴覚室」という、設計上音響効果がまったく異なっている環境で立て続けに話をしたため、この効果の威力を体感できました。
内田先生はその記事で、「音響の差の50%はマイクの感度やホールの反響性など物理的な条件で決ま」り、「残り50%は聴衆の身体の「共鳴度」高さ」に依拠する、と書いていますが、視聴覚室の聴衆の皆様は大変に熱心に話を聞いてくださり、私のしゃべりとメモをとる音と笑い声が適度にミックスされたまことにすばらしい空間を作ることができました。
べつに一番前の女生徒が可愛かったからやる気が出たとかそういうことは一切ありません。「高校に変な人はいますか?」というあんまりといえばあんまりな質問に、日比谷高校には頭が真っ白で遅刻と欠席を繰り返すけどなんとか卒業したなぜか勉強のできる子がいますよ、と答えたとき、その女学生は後ろの友達に「やっぱり日比谷はやめようかな」、と漏らしておりました(これはほんと)。音響効果が優れているので小声の話もかなり聞き取れるのですね。


中学生C:何ききですか?
わたし :どっちだと思う?
中学生D:左!
中学生E:左!
中学生F:左!
わたし :ごめん右きき……。


30分は思いのほか短く、楽しかったです。大変のどが渇きましたが。
全行程が終わった後は、(もうとっくに転任したと思っていた)担任の先生に進路の報告などをすませてから帰路に。同級生2人と(もらった図書カードを使いに)本屋に寄ってから帰りました。女の子と話をするのは楽しいですほんと。中学の時は毎日こんな感じだったのですけれども。どこで道を踏み外したのかしら?
アドレスを聞けないあたりが私の限界、という感じはいたしました。

*1:皆勤賞で授業はちゃんと聞いててテストで大体一位だったので。別人?

*2:一番反響があったのは意外にも、「塾には行ってませんでした」と言ったときでした。どうも塾に行かないと高校には行けないと思っているようです。お気の毒。