今日の名言

それを考えることしばしばにして、かつ長ければ長いほど、常に新たにして、増してくる感歎と崇敬とをもって、心を満たすものが二つある。それは、わが心の上なる星輝ける空とわが心の下なる道徳律である
――カント



カントは、人間が真実よりも幸福を追求してしまう(そうしなくては社会は成り立たないし、生きていくこともできない)ということを踏まえた上で、それでも極限まで道徳的であろうとするところに人間の尊厳をみるわけです。中島義道によれば、それは「厭々したがう」という態度であり、だからこそ価値があるのです。
カントの道徳論の特徴は、「道徳」を、人間には達成不能な高い水準に設定してあるところだと思います。その水準を目指すことが尊さであり、それ(内的な美しさ)をカントは「星輝ける空」(外部現象の美しさ)とならぶ「感歎と崇敬」の対象とする。たぶんカントは、世界と自分が大好きだったんじゃないかと思います。